大阪・関西万博のウォータープラザ(5月18日撮影、写真:UPI/アフロ)

 大阪・関西万博で虫の大量発生が生じている問題で、主催者側は早々と「シオユスリカ」と特定する発表がありました。

 冒頭に明記しておきますが、これは「人災」で、予想外の事態ではありません。

 もし万博デザイン側に水理学、河川工学など水環境の専門家が一人でもいれば、淀んだ溜まり水はプランクトンや虫がわいて当たり前ですから、適切な設計を施して事前防止できた事態です。

 例えば千葉県浦安市にある東京ディズニーリゾート。海辺で水を多用しますがボウフラはわきません。

 それは事前に防止するべく水系が循環しているからです。

 最低限のシステムを備えるのに350億円など必要はありません。大阪万博では無駄なところにお金を使い、取るべき措置が取られていない。

「デザイン」側で会場設備に関わったセクターが、損害を補填すべき「人災」面を第一に指摘しておきます。

 また、サイエンスに関わった経験がある人なら、専門の区別はほとんど関係なく誰もがユスリカの大量発生と特定していることに対し、「本当かな?」と疑問をもつように思います。

 そんなに簡単に決めつけてしまって、後から厄介な別の虫もいました「ごめんなさい」というのは、科学者の基本的な対応としてあり得ないからです。

 確かに、5月の連休明けから夢洲の大阪万博会場に発生、確認されるようになった「ユスリカ」。

 しかし、ハエの仲間であるユスリカ(双翅目「Diptera」、ハエ目とも)は、その種類を特定するのは実は容易ではないようです。例えば、岐阜聖徳学園大学のホームページにも「似た種が多く」「分類は困難」と出ています。

 万博の主催者が、吸血して伝染病の媒介ともなる「蚊」のような虫ではないので安心してください、と言いたい気持ちは痛いほど分かります。

 でも、ユスリカが大量発生する環境で、ほかの汽水域に住む吸血性の昆虫がそこそこ大量に発生しないとは言い切れないでしょう。

 実際、夢洲のような汽水域には、人を刺す昆虫も棲息します。

 例えばブユ(蚋・ブヨ)やヌカカ(糠蚊)などの仲間は人を刺し、伝染病を媒介する害虫で、比較的水のきれいな汽水域にしっかり棲息可能

 夕方、砂浜に成虫はめったにおらず、岩場などで人が刺されるリスクがあるようです。

 仮に、2025年5月末日時点で、夢洲に「たった1種類だけのシオユスリカ」しかいないとしても、6月第1週、どんな虫が飛んでくるか、誰も予測も否定もできません。

 こうした虫対策として、公式発表を見る限り、殺虫剤、防止剤などの投入とあります。

 この方法は短期的な効果は絶大だと思います。ただ、殺虫剤や防止剤の効果は散布後、急速に薄れてしまいますし、継続的に散布すれば当然ながら環境に万博終了後まで残る負荷をかけてしまいます。

 今回は、こうした汽水域での厄介な虫対策として殺虫剤や防止剤などよりも根本的有効性を過去の事例から実証されている方法、すなわちハゼ、タナゴ、メダカ、キンギョなどボウフラを食べる蚊の天敵を投入する駆除の1の1をご紹介しましょう。