中国・上海で開催された半導体製造装置・材料の国際見本市「SEMICON China(セミコンチャイナ)2025」の様子(資料写真、2025年3月26日、写真:ロイター/アフロ)

(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)

半導体の3大国際学会と各国の競争力の関係

 半導体産業には世界的なブームが到来しており、この分野には3つの主要な国際学会が存在する(図1)。

図1 半導体の3大国際学会
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 まず、毎年米国サンフランシスコで開催される半導体集積回路の国際会議「ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)」は、論文の採択率が20~30%と非常に厳しく、そのことから「半導体のオリンピック」とも呼ばれている。

 次に、半導体デバイスを対象とした国際会議「IEDM(International Electron Devices Meeting)」も、同様に採択率20~30%という狭き門であり、毎年米国西海岸で開催されている。

 さらに、ハワイと京都で隔年開催されている「VLSIシンポジウム(Symposium on VLSI Technology and Circuits)」では、集積回路(Circuits)とデバイス(Technology)の両分野の発表が同時に行われる。このVLSIシンポジウムも、ここ数年で採択率が20~30%となり、容易に発表できる学会ではなくなっている。

 このような厳しい審査を伴う国際学会での採択論文数は、各国・各地域の半導体分野における競争力の一つの指標となる。

 筆者は2018年頃からVLSIシンポジウムに記者として参加し、各国・各地域の論文数を継続的に観測してきた。その結果、特に、ここ2年間で投稿数および採択数のいずれもが急増していることが分かってきた。

 そこで本稿では、どの国や地域の論文数が増加しているのか、あるいは減少しているのかを明らかにし、そこから各国・各地域における半導体の競争力を読み解いてみたい。