ここ2年で急増したVLSIシンポジウムの論文数
今年(2025年)のVLSIシンポジウムは、6月に京都で開催される予定である。これに先立ち、4月18日に記者会見が行われ、地域別の投稿論文数のトレンドが発表された。その概要を図2に示す。なお、図2は回路(Circuits)とデバイス(Technology)の両分野を合わせた投稿数を示している。
図2から分かるように、総投稿件数は2006年から2023年まで概ね600件前後で安定して推移していた。しかし、2024年のハワイ開催では初めて900件を超え、さらに2025年の京都開催でも921件と高水準を維持している。
配布資料には「アジアの投稿件数は669件」との記載があり、アジア圏からの投稿増加が強調されていた。しかしながら、どの国・地域が増えているのか、または減少しているのかは明示されていなかった。
そこで、筆者は投稿件数の推移を、積み上げグラフではなく、各国・地域ごとの折れ線グラフ(図3)で書いてみた。その結果、単に「アジア圏が増えている」とひとくくりにするのは不正確であることが判明した。
2006~2010年頃は、米国が1位、日本が2位であった。しかし、日本は2010年以降急激に投稿数を減らし、2019年以降は50件未満に低迷している。また、米国も上下動しながら減少傾向にあるが、2022年まではかろうじて1位を維持していた。
状況が大きく変わったのは2023年以降である。2020年頃から投稿を増やしていた韓国と中国が2023年に米国を追い抜き、2024年には中国が1位、韓国が2位に浮上した。2025年には韓国の投稿数がやや減少したものの、中国はさらに投稿数を伸ばし、283件で圧倒的な1位となった。