
(スポーツライター:酒井 政人)
鵜澤は自己新の連覇も「あまり良くない」
アジア選手権の最終5日目、男子200mで前回王者の鵜澤飛羽(JAL)が苦悩しながらも金メダルを獲得した。
鵜澤は前日の予選2組を20秒94(-1.0)、準決勝2組を20秒67(-0.9)でトップ通過すると、決勝は20秒12(+0.8)の大会新記録をマーク。日本歴代4位の好タイムで日本勢初の連覇を飾った。
国際大会で自己ベストを0.01秒更新。“完勝”というレース内容に見えたが、鵜澤は首を捻った。
「日本選手権と世界陸上に向けて、しっかり3本走りたいと考えていました。予選、準決勝とうまくハマらず、自分のなかでは良くないレースが続いたんです。疲労が溜まっていて、決勝前のアップも動きませんでした。20秒2~3台かなと思っていたんですけど、20秒1台が出てしまった。自分の感覚と、タイムにズレがあったんです。そういうときはあまり良くなくて、ケガをすることもあるので、日本選手権に向けて、しっかりゆっくりやっていこうかなと思います」
筑波大を卒業して今季から社会人となった鵜澤は5月3日の静岡国際で快走を連発した。予選で20秒13(+0.8)の自己ベスト。決勝は追い風参考記録ながら20秒05(+2.1)で駆け抜けて、末續慎吾が2003年に打ち立てた日本記録(20秒03)に迫っている。しかし、5月18日のセイコーゴールデングランプリは「コンディション不良のため」に欠場。アジア選手権は「あまり準備をしないで臨んだ大会」となった。
自己ベストの連覇だが、「ちょっと嫌な感じがする」と表現した鵜澤。それでも「今回は勝つことが目標でした。身体の調子は良くなかったですけど、強さは証明できたかなと思います」と話した。そして、「末續さんは超えなきゃいけない存在。自分はその上しか目指していません」と日本記録の更新、19秒台の突入、それから東京世界陸上の“快挙”を目指していく。