
(国際ジャーナリスト・木村正人)
「私たちは新たな脅威の時代を生きている」
[ロンドン発]「欧州における戦争、増大するロシアの攻撃、新たな核リスク、国内における日常的なサイバー攻撃。敵対国はより緊密に連携し、テクノロジーは戦争のあり方を変えつつある。私たちは新たな脅威の時代を生きており、英国の国防も新たな時代を迎えている」
ジョン・ヒーリー英国防相は6月2日、英下院で新たな戦略国防見直し(SDR)を発表した。ドローン、自律技術、人工知能(AI)を戦車や砲兵に組み合わせて陸軍の戦力を10倍にし、米英豪(AUKUS)の安全保障協力を通じて攻撃型原潜を最大12隻まで増強する。

低出力の米戦術核兵器B61-12を搭載できるステルス多用途戦闘機F-35Aの調達も視野に入れる。現在、北大西洋条約機構(NATO)に加盟するベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、トルコが約100発のB61-3を共有。トルコを除く4カ国でF-35Aの配備が進められる。
F-35Aの戦闘行動半径は約1093キロメートル、航続距離は約2200キロメートル。GPS(全地球測位システム)で誘導できるB61-12の核出力は0.3〜50キロトン。広島と長崎に投下された原爆の核出力はそれぞれ約15キロトンと約21キロトンだ。
