
(山中 俊之:著述家/起業家)
街を歩いていて、「Quoi ? Tu ne parles pas français ?(えっ、フランス語ができないの?)」と言われかねない国の一つが、5月に筆者が訪問したコートジボワールだ。
西アフリカに位置し、人口は約2900万人。大西洋の美しい海岸に面するコートジボワールは100年以上にわたりフランスの植民地であった。最大都市アビジャンは、フランスの西アフリカ植民地の拠点の大都市だった。
フランスの植民地施策により1960年の独立後も国民の大半がフランス語を流ちょうに話す。コートジボワールの人は、親とは各民族の母語、例えばジュラ語やバウレ語で話をするが、学校でも職場でもフランス語でないと通じないのだ。母語ではなく、フランス語こそが意思疎通できる共通言語になっている。
アフリカ諸国の中でも、公用語をフランス語から英語に変えたルワンダのような国もある。
そのように英語話者が徐々に増えているとはいえ、まだまだ西アフリカ諸国を中心に「英語よりフランス語」という国も多数残っている。
アビジャンの街もどこかフランス的な雰囲気が残っている。緑が多く、海の幸もおいしい。エキゾチックな風景を見ながらの魚料理とワインは最高だ。観光ビザが容易に取得できれば、多くの観光客が訪れるのではないかと思う。
それだけフランス語、フランス文化の影響が強い国だ。
であれば、フランスとの経済関係も多いのではと思うかもしれない。しかし、実際はそうでない。