
「4日間戦争」で世界の軍事関係者がざわめいたワケ
2025年5月初め、インド亜大陸を舞台に、2つの核保有国であるインドとパキスタンが戦火を交えた。
4月22日、インド北部のカシミール地方にあるインド実効支配地区で、景勝地のバハルガムを訪れていたインド人観光客ら20人以上が、パキスタンを根城にするイスラム過激派組織「抵抗戦線(TRF)」の銃撃で殺害された。

このテロ事件に対しインドのモディ首相は、背後にパキスタン政府がいると激怒し報復を宣言。5月7日「シンドゥール作戦」と名付け、戦闘機やドローンを繰り出し、パキスタン中部のパンジャブ州にあるTRFの拠点をピンポイント攻撃した。
パキスタン軍機が迎撃に向かい空中戦を展開し、一部報道ではインド軍機5機が撃墜され、うち2機はフランス製の新鋭戦闘機ラファールだという。
パキスタンは、中国製の新鋭戦闘機J-10(正確にはCE型)と、中国と共同開発のJF-17戦闘機を発進。中国製PL-15長射程空対空ミサイル(AAM)で撃墜したとアピールした。中国国営中央テレビ(CCTV)も快挙として報じるが、インド側は否定している。
「西側の新鋭機が、中国の新鋭機が放ったスタンドオフ(射程距離外)ミサイルで撃ち落とされるとは」と、世界の軍事関係者が一斉にざわめいた。

これ以上の戦火拡大を望まないインドとパキスタンは、5月10日にスピード停戦し、「4日間戦争」は一応の幕を閉じた。だが、これまで両国の間で3回にわたり大規模戦争が行われた対立の歴史もあり、核戦争に発展する危険性がいまだに続いていると言っても過言ではない。
また、日本ではあまりピンとこないようだが、今回のインドとパキスタンの軍事衝突は、「中印戦争」、さらには「米中全面衝突」へと連鎖しかねず、ロシアのウクライナ侵略戦争とはケタ違いの「破壊力」を秘めている。
