ロシア・ウクライナの仲介を期待されるレオ14世(写真:AP/アフロ)

ロシアとウクライナの停戦協議が難航している。仲介に前のめりだったトランプ大統領も、今や匙(さじ)を投げているかのような状況だ。そうした中、新たなローマ教皇レオ14世の役割に注目が集まっている。バチカンは過去にも国際紛争の解決に尽力してきた経緯があり、レオ14世自身も教皇就任後、ロシア・ウクライナ戦争の解決に向けて積極的な言動をしている。レオ14世はロシア・ウクライナの戦争終結に手腕を発揮できるか。

(楠 佳那子:フリー・テレビディレクター)

 ロシアによる侵攻が続くウクライナの首都・キーウは5月23日夜から、2日連続で無人機などによる空爆を受けた。ウクライナ空軍によれば、同日から24日夜にかけての攻撃は弾道ミサイル14発、無人機250機によるもの。キーウへの攻撃は、2022年の侵攻以来最大規模とされる。英BBCは24日、当局の発表として、23日以降少なくとも13人が死亡、56人が負傷したと報じている。

 攻撃を受けた地域の60代女性はロイター通信の取材に「停戦合意してほしい」と話し、3歳の孫娘が怯えて叫び声を上げていたと証言している。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は攻撃を受け、戦争長期化の原因はロシアだと世界が確信を深めているなどとSNSで批判。何度も停戦を提案してきたウクライナに対しロシアが全てを無視しているとし、欧米などのパートナーによる追加制裁を呼びかけた。

 攻撃は、紛争が始まって以来最大規模となる捕虜交換が行われていたさなかの出来事だ。ゼレンスキー大統領による、停戦に向けたロシアの本気度に対する不信感の背景も、ロシア側のこうした行動にある。

 地元紙は住宅地が標的とされ、人々が火災などにより避難を余儀なくされた様子を伝えた。取材に応じた住民の男性は、住宅など一般市民を狙った今回の攻撃が「ロシアによるテロ」だと断じている。

 男性はかつて、トランプ米大統領が和平をもたらすことのできる唯一の人物だと思い、支持していたという。トランプ氏は、「自分が大統領に選出されれば(この紛争を)24時間で終わらせる」などと豪語していたからだ。しかし、もはやそんな事は信じられないとも嘆いている。

 この男性が絶望するのも無理はない。トランプ氏が大統領に就任してから24時間どころか130日近く経過しているにもかかわらず、紛争終結の兆しすら見えていない。

 挙句の果てには5月19日、トランプ氏はプーチン大統領との電話会談後、解決に向け「何かが起きると思う。起きなければ、私は身を引くだけだ。彼らはそのまま続けるしかない」「これは欧州の問題だ」などと匙を投げたかのような発言を行なった。

 トランプ大統領は、早期停戦を訴え続けているウクライナと、だらだらと戦闘を長引かせる思惑が見え隠れするロシアとの間に入るという“面倒ごと”に飽きてしまったかのようだ。その一方で、トランプ氏から紛争解決という難題を丸投げされた感のある人物がいる。ローマ教皇に就任したばかりのレオ14世である。