写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ

 グローバルな供給網が大きく揺れる中、国際物流市場は激動の局面を迎えている。コロナ禍による在庫戦略の転換や、トランプ政権の関税政策が与える不透明感に加え、巨大企業による寡占化や専門分化の動きも加速。市場拡大の一方で、競争環境はより複雑化している。

『月刊ロジスティクス・ビジネス』副編集長で物流メディア「ロジビズ・オンライン」編集長の藤原秀行氏が、世界の3PLランキングとともに、日本企業の現在地と今後の展望を読み解く。

乱気流渦巻く国際物流市場

――グローバルな供給網が再編される中、国際物流市場は今どのような局面にあるのでしょうか。

月刊ロジスティクス・ビジネス

2001年に創刊したロジスティクス管理の専門誌。 一般経済紙よりも深く、物流業界紙よりも広い視野から、独自のビジネス情報を発信。

藤原秀行氏(以下、敬称略) 国際的な貨物の取扱額は伸びています。これまで米国経済が堅調だったことに加え、世界的にEC(電子商取引)が拡大している影響で、国をまたぐ取引量が非常に増えています。国際物流市場は、確実に拡大傾向にあると言えるでしょう。

 ただし、コロナの前後で状況は変わりました。コロナ前は、荷主が極力在庫を持たず、必要なときに必要な分だけを輸送する方法が一般的でした。そのため物流では、スピードが重視されていました。

 ところが、コロナ禍で生産がストップして、物資が手に入らなくなるという事態が実際に起きたため、コロナ後は荷主がある程度の在庫を持つように変わりました。そのため物流企業は、単に速く輸送するだけではなく、どこに倉庫を置けば最も効率的に出荷や搬送ができるかまで考えなくてはならなくなりました。

 さまざまなリスクに備えて、中継地点にも在庫を持てるような倉庫を設けたり、そこにどれだけの量を、いつまでに準備すべきかといったことまで計画する必要があります。こうした要素全てを含めて「国際物流」と捉えるように、物流企業の意識も大きく変わってきています。