郊外の中古マンション価格はそろそろピークアウトか

 前出の東京カンテイ・高橋氏によると、今後はこうした問題が一段と鮮明になる可能性が高いので注意が必要だと話す。

「今後の中古マンション価格を考えると、都心部ではまだまだ上昇が続くでしょう。高額所得者、富裕層、海外からの投資家などは高くなっても買えるので、デベロッパーはますます強気の値付けができます。

 それに対して郊外の状況は全く異なります。実需に見合わずに価格を上げると平均的な収入の会社員などは手を出しにくくなるので、強気な価格設定は難しい。郊外部はそろそろ頭打ちになって下がり始める可能性が高いのではないでしょうか」

 郊外部でも中古マンション価格が高くなり過ぎているため、マンションを買えなくなった層が戸建住宅に流れるようになっている。

 東日本不動産流通機構のデータによると、2024年度の首都圏中古マンションの成約価格の平均は4939万円に対して、中古戸建住宅は3939万円で、戸建住宅のほうが1000万円安くなっている。新築戸建住宅も4439万円で、中古マンションより500万円安い。

 そうなると、郊外部のマンション価格はピークアウトして、値下がりに向かう可能性が高まる。特に現在のような価格高騰時代でもリセールバリューが下がってしまっているエリアは、一段と値下がりすることになるかもしれない。

 周辺駅のイメージに引っ張られて、実力以上に高くなっているエリアには十分な注意が必要だ。資産価値を維持するためにもマンションの立地選びにはより慎重な姿勢が必要になってくるだろう。

【山下和之(やました・かずゆき)】
住宅ジャーナリスト。住宅・不動産分野で新聞・雑誌・単行本などの取材、原稿制作、各種講演、メディア出演などを行う。『住宅ローン相談ハンドブック』(近代セールス社)、『はじめてのマンション購入絶対成功させる完全ガイド2022─2023』(講談社ムック)などの著書がある。