
写真提供:日刊工業新聞/共同通信イメージズ
2024年に成立した「事業性融資の推進等に関する法律」。これにより、企業の将来性や知的・無形資産を担保とする「企業価値担保権」が創設され、2026年の制度開始が予定されている。
従来の不動産担保型の融資に代わり、成長力に資金を投じる金融慣行への転換という「追い風」を企業はどう生かすべきか? シティグループ証券などで長年セルサイドアナリストを務め、一橋大学CFO教育研究センターで「投資家との対話」をテーマに講義する松島憲之氏が、知財による成長戦略を解説。
知的財産の存在価値を一挙に高める「企業価値担保権」
世の中のルールが変わるときに大きな変革が起こり、新たなビジネスチャンスが生まれる。これにうまく対応することができねば既得権者は没落し、対応に成功する新興勢力が台頭する。これは歴史の教訓だが、いよいよ日本にも金融業界に画期的な変革を生む新制度が開始される。
金融機関のみならず、スタートアップを含めた企業も、知的財産経営を行うことで大きなチャンスをつかむ可能性がある点で、今後はますます注目度が高まるだろう。これが「企業価値担保権」で、文字通り企業価値全体を担保にするという新しい試みである。
2024年3月15日に「企業価値担保権」創設を目指した新法案の「事業性融資の推進等に関する法律案」が閣議決定され、2024年6月7日に参議院本会議で可決・成立した。新制度開始は2026年が予定されている。