後手に回る日本の金融犯罪取り締まり
星:金融犯罪の取り締まりに関して、日本はこれまでも後手に回ってしまいがちだったのが現実です。
思い返せば「五稜会事件」※において、暴力団幹部がスイスに隠し口座を持っており、スイスの銀行が公開した情報に基づきスイス当局が没収した犯罪収益を日本側が受け取る手続きがないというドタバタ劇を演じたこともありました。
※五稜会事件は2000年代前半に発生した暴力団によるヤミ金融詐欺事件。
「振り込め詐欺救済法」は有罪判決を前提にしないで口座凍結により犯罪収益(犯罪被害金)の還付が可能な唯一の法律ですが、これも「振込先の口座」のみが凍結対象で、別口座にカネが移動されていれば万事休すです。
リアルな金融犯罪とは異なり、サイバー空間の金融犯罪の被害総額は何千億円単位に上ります。「犯罪収益は、結局は捜査当局に押収される」という事実を詐欺集団に見せつけなければ、彼らの行動が止まることはないでしょう。
前編:証券口座乗っ取りと特殊詐欺集団を結ぶ共通点、狙われた中国株、ミャンマー「闇バイト」検挙…不正アクセスの手口は